フランス・パリ 2

車窓からの光がコンパートメントを明るくするころ、国境を越えて最初の場所パリに戻ってきた。

朝のBercy駅だ。列車にはまだ少し雪が残っている。 邪魔なボストンバッグをダニエルの実家に置きにいく。 最後のパリ滞在を楽しまなくちゃ。

街でデモ活動をしている人たちがいた。 内容はよくわからなかったんだけど、たぶん労働環境の改善を求めたりしてるんだろう。 私は街で大声を出す活動全てを本当に嫌っている。デモ活動も例外ではない。 選挙活動でマイクを使うのも最悪だし、ヘイトスピーチやらそのカウンター活動やらもどっちも本当に不愉快だ。 どんな主義主張を持つのも自由だと思うけど、街で大声を出すなと思う。

ぶらぶらと街を歩く。たいした物欲もないので買い物はしないけど、観光客としてぼんやりしているだけでも十分楽しい。

初日から気になっていたハンバーガーチェーンのQuickにも行ってみる。 ダニエルは「Quick超まずいからマックのほうがいい」って言ってたけど、 個人的には普通に美味しかった。というかよくある普通のハンバーガーチェーンだった。 マクドナルドと比べても優劣はないように思う。

そして夕食には生肉のカルパッチョ。Bistro Romainというイタリアンレストランなんだけど、 なんと15€でビーフのカルパッチョが食べ放題。 ワインを空けて六皿くらいおかわりしたらもう満腹。フランス各地にあるレストランなんだけど、 人気があるのも納得だ。美味しかった。

シャルルドゴール空港に戻る。到着時には気がつかなかったけど、 なかなかアバンギャルドな造形をしている。 かなり古いが美しく使いやすい空港だ。 ちょっと都心から離れているのが気になるけど、成田空港よりよほどマシだと思う。 東京は成田も羽田も本当にアクセスが悪い。 羽田と東京駅・新宿駅を直接つなげる路線が必要だ。 成田はLCCの拠点として活用して欲しいかな。

18日間の旅行から帰国した。長かった。夢を見ているようだった。 自分の想像の範疇を大きく超える出来事だけで構成されたようなこの18日間は、 私の内面の全てを徹底的に再構築した。

このテキストを書こうと思ったのは、旅行から5年が経って記憶が曖昧になってきたことを自覚したことが発端だった。 この5年間でたくさんの国に訪れたし、留学までしてしまった。 それぞれの国に対して語るべきことはあるけれど、忘れてしまっては何も書けない。 自分のための備忘録としてもね。 この旅行がこの先の私の人生を変えてしまうのだが、そんなことを当時の私が知るよしもない。

(2015/09/06 公開)