ジャイアンツ・コーズウェイにいってきた
北アイルランドという地域がある。イギリス連邦を構成する4つのカントリーのうち、唯一アイルランド島に存在している。ほかのウェールズやスコットランドとは異なり、イングランドと鉄路で結ばれていないため微妙にアクセスがわるく、観光客もそれほど多くない。その北アイルランド唯一の世界遺産となっているジャイアンツコーズウェイ(Giant’s Causeway)に行ってきた。
北アイルランドの首都ベルファストからLondonderry線に乗りColeraine駅に向かう。この北アイルランド鉄道も含め、アイルランド島の鉄道は全て軌間が1600mmの広軌になっており、プラットフォームから線路を見るとその太さに驚く。北アイルランドの鉄道では駅でも車内でも切符が買える。改札もないし検札も(私が移動したときには)無かったが、ここはちゃんと購入しよう。ほかのイギリスの鉄道会社と同じようにDay Return切符というものがあり、片道切符と変わらない値段で往復切符を購入することができる。
列車は一時間半ほどで乗り換え地点のColeraine駅に到着する。駅からジャイアンツコーズウェイまではバスが出ている。このバスは現地の交通ICカードか現金でしか乗ることができないので事前に細かいお金を用意しておこう。
世界遺産に登録されていることを示すモニュメントがある。この独特な建物はビジターセンターだが、ジャイアンツコーズウェイ自体は屋外にあり誰でもアクセスできるのでビジターセンターにはとくに入らなくてもよい。というか正直評判があまりよくないので入らないほうが良いかもしれない。入場料が高い割に得られるものがないというレビューが多く投稿されていた。まぁそれはそうだろうと思う。
ビジターセンターを無視して海岸の方へ歩いていく。海岸沿いの道はきれいに舗装されているので歩きやすい。1月の海風に晒されるので結構寒い。観光客もちらほら見かける。夏はもっとおおいらしい。
15分ほどでジャイアンツコーズウェイに到着する。遠目にも奇景であることがわかる。トライポフォビアの人はもしかしたら気持ち悪く感じるかもしれない。わたしもすこしだけぞわっとした。
直径40cmほどの六角形の石柱がぎっしり敷き詰められている。典型的な柱状節理だ。わたしはこの柱状節理が好きで日本各地のものを見に行ったが、ここまで大規模で直接その上を歩き回れる場所は初めてだ。
海の水はきれいなのだろうが絶え間ない風と砕け散る波で濁り、空もどんよりと曇っている。海に近い石柱は波に洗われ続けて黒くなっており、かなり滑りやすいので気をつけよう。何度も転びそうになった。
石柱の数は見えているものだけで4万本もあるという。六千万年前に起こった巨大な噴火と、それによって吹き出た溶岩がゆっくりと冷却されて生み出されたらしい。そういう解説を見ても恐ろしくゆったりと流れる地質学的時間スケールにあまりピンとこないが、しかしこの景色が見れたことはとてもよかった。良い体験だった。