ジンバブエドルを手に入れよう
2009年にハイパーインフレを起こして経済が完全に崩壊してしまった国、ジンバブエ。89,700,000,000,000,000,000,000(897垓)%とも言われる史上最悪のインフレが続いていた同国は、そのとき使われていたジンバブエドルについて既に廃止・回収しており、現在はUSドルと新通貨RTGSドルが併用されている。
Zimbabwe prices now based on the daily USD/RTGS dollar rate #Zimbabwe pic.twitter.com/kSiyt0drgR
— Povo News (@povonewstv) May 26, 2019
そしてそのとき廃止となったジンバブエドルを回収にまわさなかった商売上手な(あるいは怠惰な)人々によってジンバブエドル札のいくらかは保存されており、いまでもジンバブエ国内の土産物店に行けば簡単に手に入れることができる。回収時に設定された交換レートが3.5京ジンバブエドル=1USドルというものだったので、わざわざ現金をかき集めて銀行までもっていく手間を考えるとやってられん、となるのも当然だろう。
結局ほとんど使われることのなかった紙幣なので角の尖ったピン札も多い。値段はどこで買っても「1枚1ドルだよ」と言われるが、雑に値切ったら3枚で2ドルになったりとか、複数枚買えばおまけしてくれたりとか、実のところかなりフワフワした値付けになっている。観光客相手にふっかけてくる人も居ないではないが、いずれにせよ土産物としてはかなり安価だ。既に失効している「紙幣だった紙」でしかないジンバブエドルなんて現地の人にとってはタダで配ってもいいようなものとのことで、適正な価格は存在しないのだ。一方発行枚数が少なく人気も高い最高額紙幣の100兆ジンバブエドル札についてはそこらへんの土産物店ではほとんど入手することができず、店員に聞いたら50USドル出せば譲ってくれる人がいるかもしれない、とのことだった。
というわけで財布に残っていたわずかな米ドル札のあまりをきれいに使い切りたかったのもあり何枚か買ってみた。価額によって紙幣のトーンカラーは異なっている。紙幣を印刷する設備も技術も持たなかったジンバブエに代わり、これらのジンバブエドル札はユーロ札の印刷も担っているドイツの有名な印刷会社で生産されていた。そのためハイパーインフレの渦中で発行されたとは思えないほど紙幣としての品質はたかい。合わせ印刷が入っていたり細密なマイクロ印刷や彩文が施されていたり、コレクターズアイテムとしての所有欲を満たしてくれる。
ちなみに日本国内にいてもネット通販を使えば5000円から3万円ほどで購入することもできるので、ジンバブエを旅行したときにいくらか買っておいて日本や欧米で転売すればちょっとした小銭を稼ぐこともできるかもしれない。当然ながら需要がたくさんあるわけじゃないので売りさばききるまでにはしばらく時間はかかると思うけど……。