大阪・関西万博にいってきた
わたしは大きなイベントが好きで、今回の大阪万博も2年前から売られていた超早期購入割引という安価なチケットを買って待っていたほど楽しみにしていた。終盤になれば混雑することが確定している万博にできるだけ早く行っておこうとおもい、まだ暑くなる前の5月の平日、行ってみることにした。
エキスポライナーの乗り場はものすごく遠いので注意
万博会場最寄りの駅は二つあり、東ゲート西ゲートのそれぞれに最寄りの駅が存在する。東ゲートは地下鉄夢洲駅と直結しているものの、その利便性から人気が高く予約がとりづらい。会場反対側の西ゲートは最寄りの駅で降りてから有料の予約制シャトルバスに乗らなくてはならないという点がやや忌避されたのか、入場の予約は取りやすかった。大阪駅から会場西ゲート最寄りのJR桜島駅までは臨時快速の「エキスポライナー」という列車が走っている。新大阪駅を出発し、大阪駅、ユニバーサルシティ駅と終点の桜島駅だけに停車するとても便利な存在だ。
終点の桜島駅で乗客は全員降車する。バス乗り場までは徒歩3分程度で、行列こそしているものの、つぎつぎにやってくる6台分のバスに分乗すると6台がまとめて出発し、すみやかに次の6台のバスがやってくるという、極限まで効率の良い人員輸送が実現されているためほとんど待つことはなかった。
万博専用道路のような道を進んでいく。屋根もない道路脇に何故かスタッフが立っているのが気になった。いくらなんでもこれは意味の無い仕事ではないかとも思ったが、共産党員が会場周辺で抗議活動をしているころだったので来場者の安全のためにも警備は必要なのだろう。
万博に参加している国々の国旗が並ぶ。いままで訪れた国々が思い出せる。ここに並ぶ国の大半はすでに行ったことがある国なんだなと感慨深い。飛行機やバスで国境を越えて巡った数々の国の文化が今この場所に一堂に会しているのだ。
到着した入場ゲートでは全員金属探知機を通過する。大きな荷物の持ち込みは禁止されているほか、入場チケットの確認もここで同時に実施される。恐ろしいほどの並列数なのでここもほとんど待つことなく入場できた。ボトルネックとなる場所がほとんどない。
西ゲートと東ゲートではポーズのちがうミャクミャクくん
WelcomeとGoodbyeのコミャク・アンビグラム
リング上の巨大な屋根。世界最大の木造建築だそう。デカすぎる!
柱には寿司ネコ?のイラストが
万博会場はとにかく広い。その広い会場を埋め尽くすように無数のパビリオンが立ち並んでいる。どうしても目当てのものがあるのでなければ、目に付いたすいてそうなパビリオンから巡っていくのがいいとおもう。私は入り口から近かったインドネシア館から始めた。
インドネシア
熱帯の世界。現地から本物の植物を運んできたらしい
新首都ヌサンタラの開発イメージ
オーストラリア
ユーカリの森
オーストラリアっぽいサステナブル感ある映像展示
サウジアラビア
ボロノイ図っぽい建築。個人的かっこいい建物ランキング一位
サウジアラビアの文化の実演も
スペイン
大階段を登って太陽の中に飛び込んでいく
暗い海の中に地球がうかんでいる
アメリカ
最も人気のあるパビリオンの一つ
スペースマウンテンを彷彿とさせる
アメリカと言えば宇宙開発。飛び立とう!
トルクメニスタン
本当の独裁国家
おやおや
いやはや
トルクメニスタンのクレカ
フランス
入り口からしゃれている
ここで写真を撮る女の子が多すぎて人が滞留していた
今見るとすごい写真だな
UAE
大地に根を張り、天空へと伸びるナツメヤシ
マレーシア
マレーシア料理が大量に展示。カフェでは実物が食べられる
マレーシアの伝統織物ソンケットの樹
そのほか
一つとして同じ建物はなく、どの国のパビリオンも各国の伝統文化が反映された趣向を凝らした美しい見た目をしている。
ブルガリア。後ろの紅い球はシンガポール
インドはバーラト名で出ている
中国
オーストリア
カナダ
ドイツと韓国
ルクセンブルク
タイ
アゼルバイジャン
予約困難なnull²
初代御三家。完成されたデザインだ
会場の壁には至る所にグラフィティが描かれている
こみゃく
大屋根リングの上には様々なデザインに変化したこみゃくたちがいる。シンプルな丸いこみゃくは実はあんまり多くない(実はそれもレアな存在だ)。




こみゃくというのは愛称で、本来の名前は「ID」らしい。意外すぎる。
帰り道
遊び倒した。朝10時から退場の案内が流れるまで楽しんだ。しかしほとんど限界まで詰め込んだルートでも見学できたパビリオンはせいぜい15箇所とかにすぎず、コモンズの小さなブースまで入れたら180以上ある出展を一日で巡ることはどうやってもできない。
万博名物 ドローンによる退場口案内
帰りは東ゲートから退場することにした。Osaka Metro夢洲駅と直結で、会場を出たら人の流れに身を任せているといつの間にやら地下鉄に乗っている、という状態になる。この地下鉄についても本当にすごい。ぎょっとするほどたくさん並んでいる改札機にも驚かされるが、それ以上にとてつもなく高頻度で来場者を輸送している点がすごい。早朝と深夜を除き、1時間あたり24本、2分30秒に一本という驚異的なペースで走り続けている。雪崩のようにホームにやってくる来場者たちをほとんど立ち止まらせることすらなく列車に乗り込ませ、満員電車とならない程度ですみやかに出発する完璧な輸送体系は感動的だ。
またいきてぇ……
本当に楽しかった。私は東京オリンピックも大阪万博も心から開催を支持してきたし、開催に反対する人々の存在を迷惑に思ってきた。万博が無事開催され人気を博している様子を見ると、ただの参加者の一人でしかないのに嬉しくなる。予約システムははっきり言って使いづらいし、高騰したホテル代も、だいぶ先まで埋まっている会場直行の高速バスも、遠方からの参加者にとってハードルは高い。それでも行く価値があった。
会場で売られていたスタンプ帳に各パビリオンのスタンプを押して回った。かなりたくさん見学したしスタンプも押せたけど、やっぱり一日だけでは全く物足りない。SNSを見るに関西在住の万博ガチ勢は通期パスで毎週通ってますという人もいる。うらやましい限りだ。
「内藤さんはもう現地に行ってるんだから万博は必要ないでしょう」と言われることがある。それはまったく的外れだ。確かに私は旅行が好きで、見学したパビリオンの多くの国に足を運んでいる。だからといって数日とか数週間の滞在でその国の全てを理解できるはずがない。「渋谷と京都に行ったので日本を理解した」と外国人観光客が語るくらい滑稽だ。万博のパビリオンは、各国が威信をかけて自らの文化や技術を発信する場だ。それを一堂に見学できる経験は観光旅行とは根本的に意味が違うのである。その発信をまだ味わい切れていないまま会期の終了を迎えてしまうなんて、旅行好きとしてはひどくかなしい。この美しい建物が並ぶ様子も、高揚した人々も、日本現代史の1ページとして刻まれたのち、永遠に失われてしまう。そう思うと開催期間中なのにもう万博ロスに陥ってしまう。閉会までにもう一度くらい行きたい。