Dragonfly Ultra 36L というリュックサックを買った

前回リュックサックを買い換えてから二ヶ月弱が経った。その買い換えた新しいリュックサックに荷物を詰め込んで4カ国ほど巡った結果はっきりとわかったことがある。Salomon Trailblazer 30は私には合わなかった。

荷物を詰め込んだリュックの内側にPCを差し込むのはめちゃダルい

良いプロダクトではあったものの、ノートPCのポケットは外側についている必要があった。なぜならオタクくんは旅行中ひっきりなしにノートPCを出し入れするのだ。空港だって荷物検査でリュックからPCを取り出し、検査が終わったらリュックにしまい、ラウンジについたらリュックから取り出し、搭乗時刻が近づいたらリュックにしまい、搭乗ゲートについたらリュックから取り出し、搭乗開始時にリュックにしまい、機内の座席についたらまたリュックから取り出すのである。そんな人間がいるのか? いるのだ。この頻度で毎回リュックサックのメインコンパートメントの内側にあるポケットをまさぐるのはあまりにも不便で、これはどう考えても理想的な旅行スタイルではない。

というわけで改めて自分に合うリュックサックを探すことにしよう。前回のリュックサック選定条件に追加で「ノートPCを入れるポケットはメインコンパートメントとは別に設置されていて、かつ上方向に開いている」という制約を設けた。これはジッパーを閉め忘れたり、ジッパー自体が破損して閉められなくなってPCが床に落下してしまったことがあったためだ。最も頻繁に開閉を繰り替えすポケットなので、最悪閉めることができなくなったとしても物が落下しない仕組みにしたい。

前回のリュックサック選定で挙げた条件とマージして更新したものが以下になる。

  • 900g以下に収まり、軽い
  • 32L以上の容量がある
  • 飛行機の機内持ち込みサイズ以下である(私は飛行機で荷物を預けない)
  • メインコンパートメントとは別に上方向に開放するノートPC用ポケットがある
  • 前面部が大きく開くクラムシェル型をしている
  • 治安の悪い地域にも行くのでできるだけ目立たない色(グレーや黒)をしている

一般に登山用として使われるUL(ウルトラライト)ザックでノートPC周りの希望とクラムシェルという条件を満たすあまりにもニッチな商品を見つけるのは困難だ。相当調べたが、おそらく世界に1つしかない。それが今回買ったULA EquipmentのDragonfly Ultra 36Lだった。

そのほかの検討した商品たち(クリックで展開)

Osprey Daylite Expandable 26+6
32L / 840g
クラムシェルで軽いけどPCは独立コンパートメントではないのでNG

Quechua NH Escape 500
32L / 1100g
容量はOK/独立テック室あり だが 重量1.1kgでNG

Minaal Carry‑On 3.0
35L / 1400g
容量OK/外部PC/クラムシェル でも 1.4kgで重い

Bellroy Lite Travel Pack
30L / 950g
軽い/クラムシェルだが容量30Lで下限未達。38Lタイプもあるがそちらは1kgとなり、さらにPCアクセスも横向きスリーブなのでNG

CabinZero Military
28L / 800g
軽い けど 28Lで不足

Tortuga Travel Backpack Lite
40L / 1600g
外部PC/クラムシェル だが 1.6kgで重い

Osprey Sojourn Porter
46L / 1560g
機能は豊富 でも 1.56kgで重い

FORCLAZ Travel 500 Organizer
40L / 1300g
容量OK だが 1.3kgで重い

Matador SEG28
28L / 1000g
外部トップローディングPC/スーツケース的開き でも 28Lで不足

BAGSMART Blast
28L / 900g
軽い けど 28Lで不足

トライパック30
30L / 907g
容量が下限未満なのでNG

トライパック45
45L / 1010g
重量が1kgを超えているのでNG

ELECOM シューズ収納トラベルバックパックL BM-BPTR01BK
35L / 1680g
重量が1kgを超えているのでNG

Columbia ペッパーロックアドバンス40Lバックパック PU8776
40L / 1480g
重量が1kgを超えているのでNG

VERNON TRAVEL PACK
32L / 1600g
重量が1kgを超えているのでNG

https://xar.sh/post/1492733788/
33L / 1869g
昔つかってたAerのやつ。重量が1kgを超えているのでNG

Karrimor トリビュート40
40L / 1220g
重量が1kgを超えているのでNG

FJALLRAVEN ファーデン キャリーオンパック デイパック 42L 23200303
42L / 1360g
重量が1kgを超えているのでNG

PAAGOWORKS BUDDY 33
33L / 1150g
クラムシェルじゃないし1kgを超えているのでNG

ULA Equipment(以下ULA)はアメリカ・ユタ州ロガンにあるUL系ギアの専門メーカーらしい。 外注せず自社の工場内で設計から縫製まで完結する体制(参考)を敷いているという軽さと耐久性を重視したブランドだ。アメリカ西部のクラフトマンシップを感じさせる。その反面、入手性とコストパフォーマンスは悪く、日本でこの商品を店頭販売している店舗は調べるかぎり現時点で存在しない。ULAの代理店自体は国内に存在するものの、Dragonflyの取り扱いが無いか、ずっと在庫が払底したままとなっている。

Dragonfly Ultra 36Lはその名の通り36L入る容量をもつ。それでいて重量802〜879g(オプションによる)、耐候・耐摩耗素材(Incredibly strong, lightweight, and waterproof to 200 PSI textileとのこと)でつくられた頑丈なリュックサックだ。私が調べた中では前述の条件を全て満たす唯一のプロダクトである。

ULAの公式オンラインショップからも注文できるが、最近のアメリカにおける関税は不透明だし税率も高いので避けた。わたしはスロバキアのULギア専門ショップからオンラインで購入した。価格は296ユーロに送料が49ユーロ。スロバキア第二の都市コシツェから即日発送されて横浜の自宅到着までは航空便で五日ほど、送料とは別に掛かる関税と消費税はDHLから請求され、そのオンライン決済額は手数料込みで7580円だった。総額は7万円ほどとなる。単なるリュックサックとしてはかなり高い。高いが、まぁハイブランドのリュックよりは安い。なにせDIORのリュックなんて定価で43万円するのだ。そう思えば7万円も多少許せるかもしれない。

ユタ州で生まれてスロバキアのお店から日本にきた。地球をぐるっと

リュックサックの形状は箱形をしている。背中側だけ平坦になった半円柱のような形をしていることが多い商品群の中で、このような直方体に近い形は飛行機内への持ち込み頻度が高い場合に特に嬉しい。パッキングキューブを多用する人にも向いていると思う。Salomonにはなかった点として、Dragonflyには前面部に大きなポケットがついているのも便利だ。

スーツケースのようにパカッと広げられる完璧なクラムシェル型をしている。フタ部分の内側には二段になったメッシュポケットがついている。余計なオーガナイズがない簡素なメインコンパートメントは容量が十分にあることにも好感をもつが、それよりも素材にハリがあって側面部分が自立しているという点がうれしい。1kgを切るウルトラライト系のバッグはどのパーツも極めて薄い素材なのでふにゃふにゃしておりパッキング中に荷物がこぼれ落ちたりする。一方Dragonfly UltraはChallenge Outdoor社が開発した“超高分子量ポリエチレン+高強度ポリエステル+耐UV防水フィルム”という謎の生地で造られているらしく、紙のような素材感をしている。そのため軽いのに自重でひしゃげてしまうような心配がない。細いベンチの上でパッキングしても安定している。

PC用ポケット。写っているのは12インチのVAIO

小物用ポケット。深さは15cmほど

上部には2つのジッパーがあり、背面部には最大17インチまでのノートPCを入れることができる独立ポケットが、もう片方には小物を入れるポケットが備わっている。みっちりと荷物を詰め込んでもノートPCの出し入れには不便がない。私はこれを求めていた。

荷物を8割くらい詰め込んだ状態

普段持ち歩く旅の荷物をパッキングして背負ってみても非常に心地良い。これは肩ベルトがS字型に湾曲しているからだと思う。HURUを買ったときに言及した「実際に落ちることはないのだが、なんとなくしっかりホールドされている感じがせず、たとえば走ったりするときには肩ベルトをつい両手でつかんでしまう」という感覚がまったくないのは安心感を覚える。

背負った様子。小柄な人なら30Lバージョンが良いかも

今度こそ完璧なリュックサックを手に入れた……と思う。次の旅からこの子を背負って出かけることにしよう。なにしろ7万円である。これまで買ったどのリュックサックよりも使いやすくて高価だ。あとは十分に丈夫で長持ちしてくれることを願うのみである。なぜなら7万円だからだ。