スシパーティした

中国人の友達Peterの発案で友達数人と寿司パーティをすることになった。私とアメリカ人の友人は大学内の寮に住んでいて、中国人とスペイン人の友人は大学からは少し離れた、バスで15分くらいのところにある学生寮で暮らしている。

そのアメリカ人と二人で大学前のコンビニに行き、このブログでも何度か出ているSakuPresidentという2リットルで2ユーロの激安ビールを二本と、ポテトチップの袋を2つ買い、二人の待つ学生寮に行った。

バスを降りて割と新しめな寮内に入ると病院みたいな白くて長い廊下に等間隔で両壁に壁が並んでいて、その一つ一つにベッドが2つついた学生の生活する部屋になっていた。最奥には広いキッチンと食堂風にテーブルと椅子が並んでおり、聞くところによるとこの空間が食堂になりパーティ会場になり談話室になり自習室になっているようだった。

米とサーモン、ノリや巻き簀は用意されていたのだけど、醤油がハインツの出している醤油とはかけ離れた謎のソースと中国製の醤油風調味料。ワサビだけは実家から送ってもらったメイドインジャパンの品だけど、醤油がこれじゃ美味しくはならないよなぁ、なんて思いながらコンロを覗いてみると白くてドロドロした「何か」をかき混ぜている。明らかにお粥のそれがスシライスだという。

これはやばいぞと思ったところで調理済みの粥はデロリアンでもないともとに戻せないのは日本人なら常識であり、粥は巻き簀で巻けないということもまた常識だ。完全に寿司から遠ざかった材料で一体何ができるのだろう。

用意してあったサーモンを私が巻物用に細く切り分ける。それを日本食レストランでバイトしていたというアメリカ人が手際よく巻いていくのだけど、もちろん粥を巻いているので巻き簀の両端からあふれでてくる粥。 もはやグロテスクな前衛芸術だった。

結局その微妙にも程がある寿司を包丁でちぎるように切り、例のスパイシーなソースで食べたのだが、はたして私が食べたのは寿司だったのだろうか。材料も製法もやや異なっているがこれを寿司というのならきっとハンバーガーとサンドイッチに違いなど生まれないのだろうと思った。

別に日本式の寿司以外を寿司と呼称するななんてことは言わないんだけど、なんか寿司って日本だけの文化としてとどまらず、Sushiとして食事におけるスパゲッティのような懐の深いプラットフォームとして独自に進化している気がする。この国で食べた寿司はどれもずいぶん不思議な寿司風の料理に進化していた。