土合駅に行ってみた

いつか行ってみたいなぁ、と思っていた土合駅。その存在を知っている人はあまり居ないでしょうが、群馬県の最北部にある少々特殊な駅です。その最大の特徴は、上下線のホームが非常に離れていること。上り線は山に囲まれた太陽の光が降り注ぐ明るいホームですが、下りのホームはそこから500メートルも離れています。離れているだけならまだしも、そのホームはなんと地下80メートルのところに設置されており、そこに行くまでには一直線に伸びる462段の長い長い階段を昇降する必要があるのです。

そんな謎の駅土合に行こうと思い立ったのは夏の盛りの8月中旬。葛飾からは遠い群馬県に行くための手段として、青春18切符を買ってみました。初めて買う種類の切符なのでドキドキしましたが、自動改札を通れないというだけで切符としてはふつうのもの。駅員さんに逐一切符を見せて改札を通ります。

自宅を出たのは朝の4時半。始発電車でひたすら北に向かいます。高崎線に乗ってひたすら北上し、終点の高崎駅からさらに上越線で北上します。途中一度の乗り換えを経て、到着しました土合駅。

寒い!地下深くに建設された駅であり、トンネルの出入口からも離れたこの場所は、一年を通してほぼ同じ気温、かつ人工的な明かりのみが照らす空間でした。

私達の他に降りてきたのは子供を3人連れた家族が一組、私と友人、さらにこの駅に観光にきたのであろうおじいちゃんおばあちゃんのグループが10人ほどでした。失礼ですが、群馬県最北部というド田舎の秘境駅で下車する人が我々のほかにいるわけないだろうと思っていたので意外でした。

ながい階段を登ります。上りますというよりも登るのほうがしっくりきます。ただ地下にあり涼しいため、一直線に伸びる階段を登ることはさほど大変ではありません。汗もかかずにスイスイと登れます。階段の傍らには湧き水が流れており、階段はすこし濡れています。

土合駅到着の21分後に高崎方面にむかう電車がやって来ました。滞在時間としてはあまり長くは無いのですが、この電車を逃すと次は数時間後、売店も観光名所も無いこの駅で時間を潰すのも難しそうなので帰りました。

このあと、ビールを買って電車のボックスシートで旅情を楽しみながら次の目的地へ向かいます。行き先は犬吠埼。関東地方最東部であり、国内で最も早く日の出を迎える地と言われています。土合駅まで乗ってきた上越線・高崎線はもちろん、さらに山手線・総武線・銚子電鉄を乗り継ぐ長い旅はまだ続きます。