ポルトガルの首都リスボンにいってきた
もう25カ国目にもなるのでしょうか。初めて海外旅行をした19歳の冬から5年が経ちました。 休みのたびにどこかへ出かける趣味は、まだまださめていません。
次に行く場所を考えていると、ちょうど友人がパリに帰国すると言います。 そりゃいいやとばかりにパリに飛んではみましたが、やっぱりすでに2回か3回行っている街なのでいくら年末のカウントダウンパーティだとはいえあまり興奮はありません。
そこで考えたのがユーラシア大陸最西端のロカ岬探訪。水曜どうでしょうでも達成しなかったあの場所へ行ってみようと思い立ちました。
パリから飛行機で3時間ほど。飛行機から降り立つと太陽が激しく照らす暖かな気候の地、リスボンへの到着です。 冬の寒さ厳しいパリから南に移動したわけで、良く晴れた太陽の下は一月とはとても思えないすばらしい天気でした。
リスボン国際空港から市街地までは地下鉄が結んでいます。 東京でもパリでもモスクワでもストックホルムでもそうですが、空港と市街地は基本的に高速鉄道やバスで結ばれており、地下鉄で市街地と直結は珍しいです。最高に便利なのですが、計画都市として十分に設計されていないと関空や成田やパリのように都市中心部からのアクセス性が大きく低下します。日本では福岡空港がとても便利ですよね。
駅を出るとそこはリスボンの中心地。治安のとても良いこの街は、夜でも賑やかで若い人たちが往来しています。 物価も安いので晩ご飯はすこし贅沢におしゃれなレストランでとりました。
ホテルは事前に取っていた安価な宿。値段はびっくりするほど安いのに、 部屋は綺麗で毎日清掃もしてくれるほか、チェックインの時に簡単な観光案内と街の地図をいただきました。 このときはまだ知りませんでしたが、ポルトガル人は驚くほど親切です。 初めて訪れた街で親切にされる喜びは計り知れません。
さて、シャワーを浴び、朝食を取ったら街へ出かけます。 リスボンの歩道はタイル引きとなっており、小さくなめらかな白い石が隙間無く埋め込まれています。 たまにこのタイルを使ってお店の看板みたいにしていたりする場所もあり、 この街の演出に一役買っているのだと思いました。
ロカ岬
リスボンからさらに西へ電車で移動すると、シントラという街へ出ます。 ここは世界遺産に登録された美しい町並みを楽しめると同時に、 ユーラシア大陸最西端の地、ロカ岬 への観光拠点となる場所です。
シントラ駅前からロカ岬観光用のバスが出ているため、さっそくそれに乗り込んで一路ロカ岬へ。 細く、高低差のある道を車体を揺らしながら飛ばしていくバスは、乗り物酔いをする人にはなかなか厳しいかもしれません。 それでも40分ほど乗っていたら急に視界が開けました。海です。大西洋です。
良く晴れた風の強い岬を、潮風と強い乾燥に耐えられるように進化した多肉植物が覆っています。 細長いその身は、アロエのように水分をたっぷりとため込んでいるようです。 遠い東の果ての東京から西の果てのロカ岬にはるばる来ました。それはなかなか感慨深いものがあります。 最西端を記念する石碑には、ポルトガルの誇る大詩人カモンエスによる詩の一節が刻まれています。
140mの断崖絶壁から見る青く美しい海は、500年前に世界一周を成し遂げたマゼラン艦隊の乗組員たちもまた同じように見ていたのでしょう。 ポルトガルが、実際に大航海時代に繁栄を受けた期間というのは案外短く、60年そこそこだと言われています。 夢を抱いて危険な航海に漕ぎ出でても、仮にスパイスや貴金属のような富を得たところで国内の少ない人口ではそれを活かすことができなかったのが原因なのだとか。 現在ではすべての植民地を手放し、ポルトガル語が通用するのもブラジルだけともなってしまいました。 イギリスやフランスのような徹底した搾取を行えなかったことが、現在のポルトガル衰退の大きな要因なのかもしれません。
シントラの街に戻り、世界遺産となった美しい町並みを観光してお土産を買う頃にはもう夕方です。 せっかくなのでシントラでご飯を食べてしまってもいいでしょう。 私はカフェ・サウダージでおいしいスープをいただきました。 シントラはすてきな街ですが、遠いですしきっともう戻ってくることはありません。 思い出をたくさん作り、悔いの残らない状態で帰りましょう。
シントラとリスボンは鉄道が20-30分おきに出ています。終電も遅いのでのんびりしていても大丈夫です。
リスボン中心地から電車で港までいきます。 港の近くにはあの有名な発見のモニュメントやジェロニモス修道院といったメジャーな観光名所が集中しています。 修道院や、その隣の博物館なんかは有料ですが、日曜の午前中であれば無料で入場できます。ぜひこのタイミングで訪れましょう。結構どこもお高いので節約できると助かります。
リスボンの冬の名物と言えば焼き栗。街の至る所で白い煙をあげている屋台がみつかります。 だいたい12個で2ユーロほどなので是非ためしてみましょう。ほくほくしてとっても美味しい焼き栗は、 観光客だけでなく街のみんなよく食べ歩いており、リスボンでしか見かけないすてきなB級おやつのようです。 白くなっているのは塩。切り込みを入れた大粒の栗と塩をタジン鍋のようなブリキの容器で蒸し上げています。 容器から立ち上る白い煙のおかげでリスボン市内がうっすらと霞むほどでした。リスボンの人が言うには、焼き栗屋の白い煙を見ると冬が来たんだなー、と感じるのだとか。日本で言う石焼き芋のイメージと似ていますね。