2017-08-12

九州北部にいってきた 2 -博多-

グッドモーニング山口

早朝、ネットカフェのリクライニングシートで目を覚ました。京都から山口県の長府まで普通電車で移動し、さらに普通のベッドに寝ることができなかったわけで、そんなに疲れがとれているわけでもない。ドリンクバーでウーロン茶を飲み、荷物を片付けて店を後にする。朝だからか意外にも列車の頻度は高く、すぐに下関駅行きの電車に乗れた。たった二駅の移動だ。

下関駅に着く。ここへ来るのは二回目だ。前回は友人と二人で死ぬほど広い山口県をまわる旅だったが、今回は通過するだけ。小倉駅で下車して快速の博多行き電車に乗り換える。博多までの特急列車通っているので快速はないだろうと思っていたが、そうではないらしい。東京でいえば常磐線快速と特急ひたち・ときわみたいな関係なのだろう。

博多駅はめちゃくちゃ大きい。九州を代表する大都市だし、そもそも大阪以西で最大の都市だ。押しも押されもせぬ大都会だし人もすごく多い。毎年人口も増えている、活気あふれる素敵な街だ。

もつ鍋

博多といえばもつ鍋だ。そりゃもつ鍋以外もおいしいものはいろいろあるけど、博多の名物としてまず最初に考えるべきはもつ鍋だろう。異論もあるまい。ただこうしょっちゅう一人旅をしていても、さすがに鍋物をひとりでつつくためにお店に入るのはできない。いくらなんでもさみしすぎるだろう。一人焼き肉や一人カラオケを楽しむ人が増えているというが、私にはまだ若干の抵抗がある。ほんとは旅行だって誰かと一緒に行きたい。などと考えていたのだが、博多には出張でくるサラリーマンも多いからか、カウンター席を用意した一人客向けのもつ鍋店があるという。自分にぴったりだ。場所は博多駅からあるいてすぐのところにある商業ビルの地下一階。ちょうど開店の時間だ。私が最初の客だった。

席についておすすめされていた味噌味のもつ鍋を注文する。「ご一緒に熊本県産の馬刺しはいかがですか」というのでそれも注文した。旅行に行くと財布のひもが緩む。しばらくぼんやりとメニューを眺めていたら、突き出しの明太子と高菜が運ばれてくる。次に馬刺しが、そして最後にたっぷり生の具材がのった鍋が運ばれてきた。

カウンターに埋め込まれたIHヒーターで鍋を温める。しばらく待つと沸騰してので具材を箸でつついて沈める。頃合いをみて食べてみると、やっぱりこれは相当うまい。もつは柔らかいしスープの味付けもすばらしい。追加でもつだけ注文することもできるらしいが、普通に食べる分には十分なボリュームがあると感じた。次に博多にくるときも是非ここに来たいと思って店を後にした。

しかし後でしらべて見たら、このもつ鍋屋、大阪にも横浜にも東京にも仙台にも出店しているという。まぁ博多で食べることが大切なので別にいいさ。次食べるときは最寄りの店に行くだろうけど。

太宰府天満宮

厳密に言えば博多じゃないし、福岡市ですらないが、博多を観光するときには太宰府天満宮も名所として間違いなく含まれる。大学受験のシーズンには日本中から祈りとお賽銭が届く全国の天満宮の総本社として知られる。生前優れた学者であった道真公がまつられており、現在は学問の神とされることから海外からの観光客も多いのだとか。

博多駅からJRで二日市駅へ向かい、すこし歩いて西鉄の二日市駅へ。そこから二駅で最寄りの太宰府駅へ到着する。駅名標も独特で、梅の花と枝が描かれている。こんなにファンシーなものはこれまで見たことない。とてもステキだ。

駅を降りてすぐに参道が始まり、たくさんのお店がひしめきあう。どのお店も梅ヶ枝餅(うめがえもち)を売っているようだった。この日はものすごく暑く、そして梅ヶ枝餅は焼きたてを店頭で買うと手に持てないほど熱い。まさか炎天下でこんなに歯がしみるほどあついものを食べることになるとは思わなかった。でもこれは買って正解、めちゃくちゃおいしい。

さくさくとした生地となかのアンコがとても合う。甘くてちょうどいいサイズなので、これは人気のご当地名物になるのも納得だった。日本はどこに行ってもご当地グルメがある素晴らしい国だ。

そして天満宮のなかはとにかく大混雑だった。中国人観光客がツアーで数百人単位で集まっているようで、ツアーガイドらしき女性が旅行会社のロゴ入りの旗を振っている。参拝する人々も行列をつくっており、せっかく来たのにという気持ちもあれど、諦めて天満宮を後にした。実はこの太宰府天満宮のすぐ近くには九州国立博物館がある。ちょうどラスコーの壁画に関する特別展もやっており、また個人的にとても好きな天目茶碗の展示もある(重要文化財・油滴天目茶碗)。もちろんこちらもいってみた。

館内はとても広く、なかなかさくっと回れる規模ではない。言うまでもなく展示のクオリティは一級品で、余すことなくすべてを見て回った。油滴天目はやはり大変見事なもので、この博物館のシンボルでもあるようだった。

博多のラーメン

博多といえばラーメン、という気持ちももっていた。でも正直ラーメンにはあまりこだわりがないし、どこの店に行ったって博多みたいな激戦区でやっていけてるってことはそれなりに人気があっておいしいということだろうと思い、天神から15分ほどの中洲という一大繁華街にあった恭やというお店に入った。

券売機でラーメンの券を買い、カウンター越しに店員さんに渡す。結構早い時間なのにすでに4人ほどお店に人がいた。なんとなく博多っぽいのかと思って「麺固め」で注文し、運ばれてきたラーメンを食べた。うん、まぁとてもおいしいけど豚骨ラーメンってこんなものだろう、という感じのラーメンだった。ラーメンにさほど興味がない人間がもたらす感想なんてこんなもんだ。

おなかいっぱいになったので、こんどは中洲からあるいて博多駅に向かった。

長崎へ向かう

博多でのtodoはもつ鍋と豚骨ラーメンと太宰府天満宮だった。なのでそれらを無事達成したいま、次の目的地長崎へ向かうことにする。博多から長崎は特急列車に乗っていくことにした。せっかく青春18きっぷを買ったのに、なんでそんなチートっぽいことをするのかとも思えるが、実のところ博多から長崎は直通でいける普通列車がない。いくつかの駅で乗り換えが必要になる。そしてこの時間から出発する列車はどれも接続が大変に悪く、結構長い時間をなんにもない夜の駅で待たなきゃいけなくなるのだ。それはあまりにも微妙だ。特急列車を使ったって2時間以上かかる距離だし、普通列車でプラス3時間かけるのは長崎の夜の街を遊ぶにはもったいない。JR九州の公式サイトからクレジットカードできっぷを購入するとかなり割引される。博多から長崎まで、たった3090円だ。

博多駅で到着を待つ「特急かもめ41号」は黒っぽい威圧感のある大きな車体をしていた。たかだか特急列車の指定席に座るだけなのに、なんとなく贅沢をしている気分になる。飛行機なんて全部指定席なのになんにも感じないことを考えると、やっぱりこれは鉄道に乗り慣れてないことによる特別感がそうさせているだけなんだろうなと感じた。

列車は福岡の市街地を離れ少しずつ郊外へと進んでいく。ちょうど夏の日の遅い夕暮れを迎え、田畑は空と同じようにオレンジ色に染まっている。

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長崎駅に到着したとき、街はすでに夜を迎えていた。駅前からトラムにのって今日の宿に移動する。ファーストキャビン長崎という、外国人旅行客からやたら人気のあるホテルだ。部屋にはベッドしかないし浴場もトイレも共同なんだけど、飛行機のファーストクラスをイメージして設計されたというとても快適な空間に泊まれるのだとか。

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で、まぁ泊まってみたんだけどこれが本当に快適だった。一生ここに住みたいとすら思った。ミニマリズムの極地とも思える空間で、とても清潔で便利で居心地がよかった。私は背が高いので普通のカプセルホテルだとあんまり快適に過ごせないが、こちらは十分寝返りだって打てるし枕元に電源もある。金庫もあるしアメニティも完備されていた。一泊の値段もやすいし、今後はファーストキャビンがある街に泊まるときは是非また選びたい。いびきを掻く最悪の人間さえいなければ最高の環境なのだ。私は自宅以外でいびきを掻くやつと人前でたばこを吸うやつのことは好きになれない。

ホテルの浴場で汗を流し、晩ご飯と市内観光のために新しい服に着替えてホテルを出た。どこまで行っても120円の安価な路面電車が街中を走っているので便利に回れる。この時間だとどこも空いてないだろうなと思いつつ、ネットで見かけた情報を頼りに大浦天主堂へ向かった。ライトアップされているらしい。

観光客も消え、商店も店じまいをしたあとのひっそりとした坂を上っていく。すぐに大浦天主堂は見つかった。暗くてうまく写真はとれなかったが、なるほど確かにきれいなものだった。こうしたキリスト教施設が江戸時代から長崎の街を見守っていたのだ。

繁華街にもどり、適当に目についたお店で雑に晩ご飯をたべる。地元の人が集まる肉まん屋とか、おにぎり屋とかだ。こんな時間に炭水化物ばかり食べたら太るだろうなぁと罪悪感を感じつつ、明日からたくさん歩けばいいだろうと開き直って長崎の夜の猥雑な空気を味わった。

つづく