2017-08-13

九州北部にいってきた 3 -長崎・佐世保-

グッドモーニング 長崎

ファーストキャビンでの目覚めは、それはそれはすばらしいものだった。前日に泊まったのがネットカフェなんだから当たり前なんだけど。でもこれまでいろんな場所に寝泊まりしてきたけど(パリの五つ星ホテルだったり、フィリピンのアスファルトの上だったり)、自分が生活するにはこれくらいの場所がしっくりくる。貧乏くさい話だが、カプセルホテルじゃ狭いし、うろうろできるほど広いホテルは自分には持て余してしまうのだ。このまえジョホールバルで泊まった夜景の見える最上階の部屋は、そりゃうれしいんだけど、俺なんかにもったいないなぁという気持ちが先行する。ところでファーストキャビンには朝食のサービスはない。長崎なんだからちゃんぽんなんかが食べられたらいいな、そう考えながらホテルを後にする。有名ホテルの朝食はうれしいが、ビジネスホテルの朝食はそんなに名物料理がならんでるわけでもないため無くたってかまわない。

とりあえず長崎最大の観光名所、原爆投下の祈念碑へ向かうことにした。今日もかなり気温は高い。行きたいなと思っていた五島列島や軍艦島は、お盆休みと重なったことによる大変な混雑でまた次回となってしまった。しかたないことだけど、完璧な旅行というものは存在しない。またその場所にくる理由として行けなかった場所をいくつか残しておくのもいいじゃないか。どうでもいいが、「完璧な○○は存在しない」というフレーズは村上春樹っぽすぎて気軽には使えない。

出島

地図をみると、ホテルからそれほど遠くない場所に出島の跡があるらしい。長崎の出島といえば日本人なら誰でも知っている日本史上の重要な事項だ。オランダやポルトガルと貿易を行うための場所として長崎に設置された人工島である。出島は周辺の土地開発によって埋め立てられ、現在は普通に陸地に存在する。海には面していない。そしてその出島があった場所には博物館というか、資料館というか、出島が貿易の拠点として使われていたころの街を再現した施設がある。おもしろそうだと思い、さきにこちらに行ってみた。歩いて行っても15分くらいだ。

展示は多彩で老若男女だれでも楽しめる。考えてみれば出島のとなんて歴史の教科書でみたきり、実際に長崎のどこにあるかもどうやって海の上に作ったのかもよくわかっていなかった。こうして実際の場所に立ってみると、この長崎という場所の持つ異国情緒の源泉をしることができた。

原爆と長崎

right 長崎の名を世界にとどろかせるのは、やはり世界最後の原爆投下地点であることが大きい。投下された日は訪れた日の数日前で、たくさんの千羽鶴やお供えの品が置いてあった。長崎で毎年開かれるセレモニーでは、花ではなく手桶に入った水を最初に供える。それだけでこの地がどのような地獄であったのかを物語っている。 資料館には原爆によって破壊された教会のレプリカや実物のキリスト像なども展示されている。欧米からの観光客にとっては、広島の資料館よりも痛ましいものに映ることだろう。すでに被爆した天主堂は取り壊されており、ごく一部しか戦災の遺構としては現存していない。広島の産業奨励館だって当時は取り壊される可能性を十分にはらんでいたわけで、当時の地域住民の感情を斟酌するに、こればかりはどうしようも無いことなのだろうと原爆投下地点をしめすモニュメントを見てぼんやり思った。 なんにせよ日本が最初の原爆投下の地であり、最後の原爆投下の地でありつづけることを祈るばかりだ。

原爆の投下地点とその周り一体は長崎平和公園として整備されており、原爆ドームと並ぶ著名なモニュメントとして平和祈念像がある。私がこれまでみたどんな像よりも象徴的で、どんな像よりも印象的だ。戦争の傷が癒え、日本に平和で安全な世が訪れたことを、第二次世界大戦によって命を落としたすべての御霊にご報告申し上げたいと思う。

佐世保へ向かう

原爆関連の観光スポットをしっかり見て回れたので満足した。次の目的地である佐世保に向かう。佐世保は長崎第二の都市で、造船業や佐世保バーガーで有名な都市だ。佐世保では名物の料理と有名な九十九島の絶景を見に行きたい。長崎駅と佐世保駅の間は快速列車が走っている。青春18きっぷでも乗れる貴重な速達列車だ。

left right

長崎でちゃんぽんをたべようかと思っていたが、ネット上で評価の高いお店はどこも大変混雑しており、店の前には行列が並んでいた。10分待つならチェーン店にいくと日頃から思っているし、今回は名物料理をスキップすることにした。とはいえ長崎駅の売店にもいろいろある。名物の豚の角煮弁当と缶ビール、あと長崎の有名なお菓子らしい『よりより』というスナックを買った。お弁当は電車に乗るまでの十数分で食べ終わる。おいしい。

九十九島を臨む石岳展望台

「くじゅうくしま」と呼ぶらしい。つくもじまだと思っていた。佐世保を代表する景勝地であり、街中に島々を臨む展望台が設置されている。どこから見ればいいのかわからなかったが、いくつかの展望台からよさそうなものを適当にえらんだ。きっとどこから見てもすばらしいものなのだろう。

日本最西端の駅でもある佐世保駅でおりると、すぐ目の前にはバスターミナルがある。バスはとにかく利用が難しいので慎重になるが、それほど本数が多くないので迷うことはなかった。片道320円。往復で乗車するだけでも500円の一日乗車券を買った方が得になる料金体系だったので迷わず買った。バス停からさらに一キロ以上山を登ってあるく。普通は車でいくようで、警備員のおじさんに「歩いていくのか?大変だぞ」と言われるような場所だった。とはいえ対してつらい距離ではない。夏の暑さだけが問題だけど、まだペットボトルは空になってないし、これも普段の運動不足解消には悪くないものだ。坂やら階段やらをどんどん上っていき、ついに石岳展望台に到着する。

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これはなかなかすごい景色だ。群島というのだろうか。Webのガイドによると、ここから見渡せる島々の大半は無人島だという。この展望台の対部分からは佐世保市街地を臨める。360度の展望と眼下に臨む景色の迫力は魅力的なもので、映画ラストサムライの冒頭に出てくる島々の風景はこの場所から撮影されたものだという。

景色を堪能して街にもどろうとするが、展望台の最寄りのバス停から駅に向かう次のバスはなんと2時間半後。歩いて行ける距離でもないし、ヒッチハイクするような性格でもない。困ったなぁと思いつつも仕方が無いのでバスで上ってきた道を下る。結局20分ほど歩いたところに別の路線のバス停があり、それが駅を経由するので帰ってこられたが、やはり乗り慣れないバスで観光地を回るのはなかなか難儀なものである。

佐賀へ向かう

晩ご飯のあと、佐世保から佐賀へ向かう列車の到着まではしばらく時間があった。駅をでて50mのところに海がある。しずかできれいで居心地がいい。佐世保バーガーも食べた。レモンステーキも食べた。やりのこしたことはないかな。

普通電車を乗り継ぎ、途中で40分ほどの接続待ちがあったのできっぷをかって特急列車に乗り換える。

佐賀駅に到着した。ついさっきとったばかりのカプセルホテルにとまって眠りにつく。朝食ブッフェ付きだというくらいしか評価するところがないつまらない場所だった。ファーストキャビンにとまりたいものだ。古いカプセルホテルなんてろくなもんじゃない。居室に電源もない。博打だ。後悔するってほどでもないけどうれしさのかけらもない状態で眠りについた。

つづく