龍神大吊橋でバンジージャンプをしてきた

私はいつかやってみたいことリストというものを作っていて、たまに追加したり完了したものにチェックを入れて下に持って行ったりしている。バンジージャンプもそのリストのなかにあったものの一つで、時満ちたときにやろうと思っていた。

そして時は満ちた。

日本でもっとも高い100mからのジャンプを体験しようという話になったのだ。場所は群馬県、龍神大吊橋というところだ。

常磐線に乗って北上し、水戸駅からさらにそこからずっと西へ。龍神大吊橋の最寄り駅である常陸太田駅からは、さらにバスでかなりの距離を移動する。

ようやく到着した龍神大吊橋。青い橋梁は端正で美しい。橋の近くにある受付所で同意書にサインをする。こういったエクストリームスポーツには必須の行程だ。そしてたくさんの金具と頑丈そうなバンドが体中に固定された。

インストラクターが言う、「…サン、ニー、イチ、バンジー!!」というかけ声でギリギリの場所に立っている青い鉄骨を思いっきり蹴る。前へ飛ぶ。あとは重力に身を任せて頭から自由落下していった。

年の暮れの冷たい空気が顔にあたり涙がでてくる。湖面が近づき、そして自分の落下スピードが減速していき、一瞬止まった。なんどかゆっくりとバウンドして逆さづりのまま自分がちゃんと生きていること、そして上にも下にも寄るすべがなく、白く太いゴムワイヤーで上空の鉄橋からぶら下がっているのが見える。360度どころか自分を中心とした全球面に足場が無い状態は人生で初めての体験だった。

鉄橋からの「ひっぱってー!」という声に応じて足下のバンドを引き、自分の体を反転させる。逆さづりだった状態から体勢が変化し、ブランコに座っているような状態で上へ上へとウィンチで引き上げられていく。足下がぶらぶらしている状態はやはりなかなか怖いもので、ゴムワイヤを両手で握りしめていた。

たった1分ほどの体験だった。しかもかなり高価な体験だった。しかしこれからの人生をバンジージャンプ経験者として生きていけるのであれば、これはなかなか悪くない投資なんじゃないかなと思う。良い思い出になった。