名古屋にもいってきた
村上春樹のエッセイには、名古屋についてこのように書かれている。
「僕は思うんだけど、名古屋という場所の特殊性は、そこが押しも押されぬ大都市でありながら、どこかしら異界に直結しているような呪術性をまだ失っていないところにあるんじゃないだろうか。」
名古屋という場所は東京からかなり遠く文化も異なる。そのうえ大阪からもまた遠いため、関東とも関西とも異なる独自の生態系と文化が醸成されているようだった。その最たるものが名古屋めしで、味噌カツやひつまぶしや小倉トーストのような、およそ東京や大阪のレストランでは見かけないメニューがやたらあるらしい。
興味深い。これは行ってみなくては。考えてみるとこれまでの人生で一度も名古屋に足を踏み入れたことがない。新幹線でも夜行バスでも飛行機でも通り過ぎるだけの場所だった。名古屋出身の人にはこれまで何人も会ったけど、旅行で名古屋に行ってきたという人は見たことないことにも気づく。気軽に行けるほど近くは無いが、とはいえ休みを取ってちゃんと計画立てていくことは無い場所なのだろうか。今回は週末旅行なのでごく短い時間しかいられないのが残念だけど、名古屋を味わってみたい。
近鉄フリーパスで名古屋に到着したのは夜9時ころ、とはいえ名古屋は都会なのでまだお店はたくさん開いてるだろうかと思っていた。ところが予想とは異なり地下街全てのお店がすでに閉まってシャッター街状態になっている。案内板をみると夜8時に本館全てのお店がしまるらしい。夜8時にはシャッターを下ろすというのはさすがに早すぎではないだろうか。新宿駅のルミネは22時までお店を開けているのに…と思いつつ地上に出る。目の前には有名ブランドのお店がたくさんあるけど全部閉まってる。
がっかりしながらうろうろしていると、上階部分の飲食店街はもっと遅くまで営業しているとのこと。意味がわからないが、エレベーターでのみ来店できるようになっているみたいだった。
どーん
初めて味噌カツを食べた。めっちゃおいしかったんだけど、この店普通に東京にも大阪にも進出してるらしい…
翌朝はちょっと、いやだいぶ豪華な朝食をいただいた。2600円の朝ご飯というのは普段はまず手を出さないが、あらゆる名古屋メシをブッフェスタイルで提供している。名古屋のグルメを一度にまとめて味わえるのはここの他に無いだろう。観光客もおおく朝食の時間帯は大変混雑していた。ホテルの客じゃなくても利用することができるため、いろんな雑誌でも紹介されていたりする。
朝食後は名古屋の街を観光する。暖かく気持ちがいい陽気だ。
綺麗になった名古屋城を見学し、街をうろうろする。
審神者にはおなじみの徳川美術館も名古屋にある。しかし名刀はもとより、館内はその多くが撮影禁止らしい。 美術館のすぐ隣にある庭園もまたのんびりと気持ちのいい場所だった。若い家族連れの姿が見受けられた。
そんな感じで名古屋の旅は終わる。名鉄乗り放題切符が有効なうちに京都へ帰る。良い旅だった。