kiwi.comで予約した航空券が無効だったので返金してもらった

東ティモールという国への滞在をおわりにし、次の国へ向かうために空港へ移動する。私は心配性なので毎回3時間くらい前には空港に着く。チェックインカウンターが開いたらすぐに受け付けてもらいたいのだ。まもなく訪れるこの街との別れの気配を感じつつ、カウンターの女性にパスポートを渡す。

パスポートのIDページをスキャンして搭乗名簿と照らし合わせ、チケットを発行するといういままで何度もやってもらった通常の流れが進まない。係員は怪訝そうな顔でなんどもスキャンするが、乗客名簿に私の名前が存在しないらしい。旅行を趣味にしてから何百回と飛行機にのり、チェックインカウンターで揉めたこと自体は何度もあったが、まさか航空券自体が無効だったというのは初めての経験だ。そんなわけないだろう、と思って航空券の予約サイトとして今回使ったkiwi.comの予約控えのPDFをスマホに表示させ係員に見せる。日付も時間も出発地も航空会社も間違えていない。そろって首をかしげながら再三確認するも、やはり私の名前自体がシステム上存在しないという結果に変わりはないようだった。

カウンターにいる別のスタッフは航空会社の担当者に電話を掛けて確認している。私の名前とパスポートの番号を伝えて先方が確認したところ、購入に使われたクレジットカードが期限が切れていて無効だったので発券されていない、という回答を得る。意味がわからない。私は私のクレジットカードをつかって購入し、すでに航空券の代金も請求もされている。クレジットカードの有効期限だって1年以上先だ。予想だが、kiwi.comが各社の航空券購入につかっている決済のためのワンタイムのバーチャルクレジットカードにエラーがあったとか、そういうことだろうと思うが、しかし搭乗当日のチェックインのタイミングで発覚するトラブルとしてはかなり迷惑だ。多少なり旅慣れている私はまだしも、こんな出来事がたまの旅行で発生してしまったらパニックになってしまうという人はけっこういるんじゃないかと思う。

もう一度買うかどうか聞かれ、ここで断ったところで行く当てもないし、諦めて新しく購入しなおすことにした。手持ちのクレジットカードを係員に手渡し、カウンターのスタッフがそれを電話で航空会社の担当者に伝える。数万円の出費が生まれてしまった。もしこのカードが限度額を迎えていたり、決済が通らなかったり(航空券購入は怪しい取引としてブロックされがちだ)、なんらかの経済制裁を受けていてそもそもカードが使えない国だったりしたらさらに面倒な状況に陥るところだったが、電話口で問題なく購入できた。とりあえず一安心だ。

飛行機には無事乗れた

いや、一安心ではない。自分に非のない数万円の出費なぞ絶対に許せない。断固返金してもらわねばならない。とりあえずチェックインカウンターで領収書を発行してもらえないか尋ねてみたが、この空港では対応できないので航空会社に問い合わせてくれと言われてしまう。まぁたしかに今回使う航空会社にとっての本国でもないし、コミューター路線だけがぽつりと就航している東ティモールに営業拠点だって置いてないだろう。それもそうかと納得し、出国の手続きを済ませて待合室のベンチに座り、kiwi.comの問い合わせフォームから苦情のメッセージを送る。この手の格安航空券を探すサイトのサポートなんてゴミカスの虚無だと思っていたが、6時間ほどで(定型文ではあろうが)丁寧な返信が返ってきた。調査をするのでしばし待たれよという内容だった。さらに二日ほどかかって調査結果について記されたメールが届く。

調査結果の説明

私の名前でチケットが取られていなかったということを認めている。返金対応をするので空港で買ったチケットのレシートを送ってくれないかという内容だ。文面は丁寧ではあるが、結局なにが起こったかというのは謎のままである。とはいえ返金対応をするということなので、元々返信なんか来ないだろうくらいまでの最低クラスに下げていた期待値を遙かに上回った。むしろ良い会社じゃないかという気さえしてくる。ゲインロス効果だ。

実際に送った明細の画像

領収書は空港で手に入れられなかったし、航空会社のサイトにアクセスしてみても購入の控えとして認められるようなものはダウンロードできなかった。しかたないのでクレジットカード会社の会員ページで見られる利用履歴のスクリーンショットを送ってみることにした。

迅速に返金対応された

すると即座に返金手続きを始めたよというメールが届く。あんな適当なスクショでも問題なく証跡として受けいれられた。こんなの詐欺師のツイートにある口座残高のスクショ同様いくらでも偽造できてしまうと思うけど、ここが厳しいものであったら証跡として提出できるものはほかになかったので助かった。

返金された金額が反映された明細

返金された金額は米ドル建てのもので、為替の差異かずいぶん増えた日本円としてクレジットカードの請求金額と相殺された。損はしなかったのでよしとしよう。損しないトラブルはエンタメだ。

単発の移動であれば飛行機に乗れないことくらい別にたいした問題ではないのだが、今回の移動は3つのフライトを乗り継ぐ必要があり、かつすべて別の航空会社によって運航される独立したルートだった。そのため一つのフライトに異常があったら以降すべてのフライトが無駄になる。取り直そうとしたフライトが満席になっていたり、あるいはクレジットカードが使えなかったりしたら行き詰まってしまう。私は運が良かった。