2017-01-04

イタリア・バーリとアルベロベッロにいってきた

right 困ったことに広い港湾に案内看板はなにもない。近くに地図もないしイタリアで使えるSIMカードも無いとなるとどうやって港を出ればいいのかもよくわからない。とりあえず周りの人についていくが、どうやら周りの人も誰がしかの送迎を待っているようだった。しかたないのでチケットカウンターをさがし、どうやってバーリの鉄道駅に向かえばいいのか聞いた。「この建物を出て、左にいくとバス乗り場があります。『20/』のバスが駅に向かいます」とのことだった。建物を出るとちょうど『20/』のバスが自分の目の前を走り抜けた。 ああ…乗り過ごしてしまった…。 次のバスを待たないと行けない。バス乗り場に行くと小さな時刻表がある。近づいて米粒のような字を読むと、どうやら40-50分に一本というペースでくるようだ。とくにすることもないので、バス停の目の前にある個人経営のハンバーガーショップに入る。朝ご飯だ。

こうやって時間を潰せる場所があったからいいけど、いつものことながらバスという交通手段は本当にユーザーアンフレンドリーの塊だ。迷ったら置いてけぼり、バス停は車線の反対側に分散、行き先がマイナーなバス停だったりすると自分の目的地を経由するのかどうかわからなかったりする(「○○営業所行き」なんて表示わからんよ…)。むかし住んでたタリン市はどのバス停にも大きな路線図が掲示されていたので便利だった。公式サイトが提供しているルートファインダーもとても便利でスマホからでも使えるし多言語対応だし本当に素晴らしいものだった。日本にも導入してほしいなぁ。

ガラスケースを指さして、ピザとハンバーガーを一つずつ注文した。ハンバーガーにケチャップとマヨネーズは入れるかときかれたので、もちろんと答える。10分ほどで出てきた。7ユーロほど支払う。

このハンバーガーがおいしかった。本当においしい。港の適当な店なんて大してうまくないだろうと思っていたのが申し訳ない。おいしかった。イタリアとフランスでは適当に入った店がやたら美味しいということがある。そのほかのヨーロッパの国は…、まぁ普通くらい。「うまいか!?」とカウンターのおじさんにイタリア語で聞かれたので、「ボーノ!ファンタスティコ!」と答えた。私の知っているイタリア語はこれくらいだ。

街までいくバスがきた。バスの切符の買い方がわからなかったが、どうやら運転手から直接買えるらしい。後で知ったが、事前に購入しておくと50セント安くなるそうだ。手荒な運転でかなり揺れるしバネの完全に死んでガタガタするおんぼろバスでバーリ市街地に到着する。こんなに揺れるバスはフィリピンの山岳部を走る長距離バス以来だ。

この街はあまり高いビルがあるわけでもなく、よくある地方都市といった雰囲気をかもしている。

バーリからアルベロベッロへむかう

さっそくアルベロベッロ行きの鉄道切符を買おうとイタリア鉄道の券売機で駅名を入力する。が、ヒットしない。スペルを間違えたかなと、いろんな表記にしてみるがやはりうまくいかない。諦めてカウンターにいき、「アルベロベッロまでの往復切符をください」というと、「アルベロベッロは別の会社によって運行されている。この建物を出て、地下道を通ってそちらでどうぞ」と説明された。なるほど。

案内されたルートで線路の下の地下道を通り、別の鉄道会社のチケットカウンターでアルベロベッロまでの切符を買った。4.9ユーロ。大人一人700円か。13駅、64kmの小旅行。

電車がくるまでまだしばらくあったので、近くのスーパーでパンとミネラルウォーターを買った。

列車はどんどんと加速していき、バーリ郊外の平野を駆けていく。

アルベロベッロ

しばらく車窓から景色を眺めていると、たまに例の三角屋根がみえる。ネタバレした気分だ。

目的の駅についた。一緒に降りた人は3人ほどで、うち二人は日本人だった。 20分ほど歩いたろうか、世界遺産に登録された「アルベロベッロのトゥルッリ」がみえてきた。

屋根のマークはなんだろう。タモリが安産祈願で描く「あのマーク」のようだけど、たぶん1ミリも関係ないだろう。というか自宅の屋根に女性器のシンボルを描くキチガイはいないはずだ。まぁ正解はキリスト教のシンボルかなんかじゃないかな。

おしゃれなショップとして使われているトゥルッリもたくさんある。日本人観光客が昔から多いらしく、日本語の看板がそこかしこに見受けられたり、流暢な日本語を話しながら客引きをするイタリア人女性もいた。

すてきな街だった。もっと晴れてたらよかったのだけど。

バーリからアルバニア・デュレスへ

バーリに到着したのは16時過ぎだった。フェリー出航の時間は23:00。まだまだかなり時間はある。せっかくなのでバーリの観光もしてみようかと思ったが、この街はそれほど見るものがない。電車で一緒になったイタリア人女性に聞いてみると、そもそもここは観光名所と言えるものがなにも無いつまらない街なのだという。とはいえせっかくなのでうろうろと歩き回り、スーパーでお菓子やパンを買ってみたりする。そんな感じで適当に時間をつぶしていた。

ちょっと早いが港に向かうことにする。来たときと同じように「20/」のバス乗り場を探し、近くの売り場で切符を買った。やはり事前にカウンターで買うと安い。1ユーロ。

バーリの中央駅から出ている港方面行きの路線バスにのり窓の外を流れるイタリアの地方都市の景色を眺めていると、バスはバーリ港についた。

バーリ港には3カ所の離れたチケットカウンターがあるようで、バーリの駅からローカルバスで移動した先に私が買った会社のチケットカウンターは無いらしい。どうしようかと適当にぶらぶらしていると、オレンジ色のダウンをきたおじさんが話しかけてきた。イタリア語で話しかけられているので詳しい意味はいまいちよくわからなかったが、懸命に伝えようとしてくれている。おじさんはイタリア語とドイツ語が話せるようで、二つの言語で説明してくれた。ものすごいよくしゃべるおじさんで、どうやら「君の行くべきチケットカウンターはここからシャトルバスで2つめの停車場にある。シャトルバスは無料で50分に一回走る。君は日本人か?中国人か?日本人か。日本人は英語が話せるが中国人は話せない。イタリア人も英語が話せないが、アルバニア人は話せるぞ。私はアルバニアで生まれたが、ずっとイタリアに住んでる。ほとんど英語は話せない。チケットカウンターへは歩いて行けない。5km離れている。いいか、二つ目のストップだぞ。アイン!ツヴァイ!チケットオフィス!」というようなことだった。日本人の多くが英語を話せるかどうかはよくわからないが、すくなくともこのおじさんのおかげで本当にたすかった。チケットカウンターと乗船ゲートの場所が5km離れているバーリ港の異常な設計は旅行者泣かせだなと思う。

かなり寒いバス乗り場がシャトルバスのヘッドライトに照らされて、さっきおじさんに説明されたチケットオフィスにたどり着くためのバスにのれた。 right アルベロベッロから戻ったバーリ駅周辺でとくにすることもなければ見るべき観光名所もないので早めに来たのが幸いした。スマホに表示した予約番号とパスポートを渡し、ちょうど良いタイミングで乗船チケットを受け取ることができた。

乗ってきたシャトルバスにまたのって、先ほどの乗船ゲート前まで戻る。特に寒い待合室で待つ必要もないのでパスポートコントロールの列に並んでチケットを見せる。とくに止められることもなかった。パトラからバーリに向かうときにはパスポートにスタンプを押されなかったが、アルバニアに行くときは押された。あれ、アルバニアってEUの国だよな。シェンゲン協定は批准していないのだろうか。EU諸国ならビザはいらないはずだけど…。すこし不審だが、まぁべつにいいかとフェリーに乗った。

レセプションには中国人の若い女性がたっており、3つ上の階に行けと指示を出す。Thank you!と言って上に行こうとすると、指を三つ立てて「サン!サン!」と言っていた。日本語がわかるのかな、と一瞬思ったが、考えてみれば中国語でも3は「さん」と発音するわけで、彼女が私を日本人か中国人か判断できたかどうかはわからない。

キャビンなしのチケットでは座席だけが割り当てられる。自由に座っていいが、ギリシャから乗ってきたSuperfast Ferryとは比べものにならないほどひどい船だった。深夜でも明かりは煌々とついていて、座席の手すりは固定式で横にもなれない。甲板とつながるドアは自動では閉まらないため誰かがタバコを吸いにでると室内の気温がいっきに下がる。ただでさえ異常なほど暖房が弱く快適とはほどとおい空間なのに、これは最悪だ。Superfast Ferryでは一番安いチケットで十分だったが、この船ではキャビン付きのものにしておいた方がよさそうだ。もう一生のることはないとおもうけど。

アドリア海を進むフェリーのなかで、またおじさんに話しかけられた。またアルバニア人のかたで、デュレスに家を持っているという。やはり英語がうまく通じない。 「いま何時だ? 中国人か? あぁ、日本人か。 中国の隣の島だな。 俺はデュレスに住んでいる。 首都ティラナまでは40km、バスで一時間だ。 学生か? イタリアに留学しているのか?」 共通語がないとかなり通話は難しい。とはいえ英語とにた単語が多いぶんまだなんとかなる。日本語と中国語、あるいは英語とロシア語ではこうはいかない。

夜明けを間近に控えた濃紺の闇を湛える海の上に、家々の放つオレンジ色の光がみえてきた。おじさんが指をさし言う。

「デュレス」

ヨーロッパ最貧国と不名誉に称されるアルバニア、その港町デュレスが見えてきた。

つづく