南極にいってきた その0

南極クルーズに申し込んだという記事を過去に書いた。その中で10ヶ月も先の旅行を予約したことなどないと言っていたのに、出発の時は刻一刻と近づいてきていた。そしてツアー開始の3ヶ月ほどまえのある日、申し込んでいたQuarkExpeditions社から、ツアーがキャンセルになったというメールが届く。

需要の大幅な低下によって採算がとれなくなってしまったのだろう。こういった小規模〜中規模のクルーズ船でも100人近い数の従業員が働く空間で、鉄道などの移動手段ではなくホテルに近い。少数の乗客を乗せて船を運航するほうが金がかかるのはそのとおりだし仕方ない。しかし10ヶ月も前からずっと楽しみにしていた旅行が3ヶ月前に消え去ってしまう。ショックだった。

見るはずだった景色; photo by Derek Oyen

同時期に開催する同社のほかのツアーを確認してもらったがすべて満席だった。来年のツアーに振り替えすることもできると言われたが、もういいやと思い返金の申請をした。銀行に振り込むので最大90日かかる場合があると案内にはあるが、いくらwire transferでもこんなに時間がかかるものだろうか。そもそもクレジットカード決済なんだから決済をキャンセルしてくれるだけでよいのに。はっきり言って不安である。現時点で二ヶ月経過しているが返金はない。もう30日待ってみることにする。クレジットカード会社が保険になってくれるのだろうか。なにもわからない。友人と二人分、200万円以上のお金を支払っているので適当にやられると困るが、最大手のクルーズ会社なのできっと大丈夫だろう。とはいえこのこの額の国際送金の手数料だって安くないし、為替レートだって日々変化するんだからこの意味の無い金銭の移動だけでも損するかもしれないのは不安だ。

南極に行くのに10ヶ月まち、いまさらまた追加で1年後まで待たなくてはならないのだろうか。私の好きなジブリ映画である魔女の宅急便で主人公キキの言ったセリフを思い出す。

「そして、ひと月のばして、ステキなボーイフレンドが現れたらどうするの?それこそ出発できやしないわ」

1年後、わたしはどこで何をしているのだろうか。20日間の休みと大きな金額のお金を自由に投じられる状況にいるのだろうか。2019年にはまだ誰もマスクやワクチンの話題を口にしなかったように、未来がどうなるかわからない。いけるときにいき、やれるときにやっておかないと永遠に失われてしまうかもしれない。やはり1年後に振り替えるのはありえない。

南極のオンシーズンまであとわずかになったところで、もう一度全てを最初から考えることになる。