MacbookProを買いました

愛用のVaioが壊れて数週間。壊れた翌日に注文したMacbookは、上海の工場から東京に運ばれ、実家に到着した翌日にEMSでエストニアに発送してもらいました。

税関で品物が止められてしまったために関税が62ユーロ、4日ほどの遅れがありましたが、無事に受け取ることができ、17年にも及ぶWindows生活からMacという未知の道を歩き始めました。

開封の儀とかそういうのをやりたくなるのがわかるほど丁寧に美しく梱包されているMacbookを見ると、Appleファンがたくさんいる理由もなんとなくわかります。電源アダプタを接続して設定を進めていきます。今までの長大なWindowsとLinuxの経験が邪魔をしてしまうのか、Macの独特な操作方法に最初はいらだちがつもります。

なんで☓ボタンを押してもアプリケーションが終了しないんだ!なんで最大化ボタンを押しても最大化しないんだ!スクリーンショットボタンがない!タスクバーがないけどどうやってソフトを切り替えるんだ!?Homebrew?Cask?Macport?AppStoreじゃダメなのか?SDスロット浅すぎだろ!Altキーの代わりが⌘(Command)キー? それじゃOptionキーの上に書いてあるのは何なんだ?ていうかOptionキーってなんやねん!

MacはMacで30年にも及ぶ長い長い歴史があり、WindowsやLinux、またMacOSXの元となったUnix系列のOSとも違う思想が根底に流れているようで、自分の持つ直感とは異なる操作性が如実に感じられます。もちろんこんなの完全に慣れの問題で、批判してるわけでは全くありません。ただWindowsユーザーやLinuxユーザーが感じる違和感は相当なものです。

そんな違和感とも数日暮らせば次第に感じなくなってきます。直感と逆方向にスクロールされたりすることもなくなってきました。まぁこれはWindowsとMacの考え方の違いですね。Windowsでのスクロールの動きというのは、「スクロールバーを動かす動き」であり、Macでのスクロールの動きは「ページを動かす動き」を模しているようです。なのでWindowsでは下方向にスワイプすればページが上方向に動きますし、Macではページを操作しているように、下方向のスワイプはページを下方向に送っていきます。

Retinaディスプレイの驚異的な解像度とそれによる文字レンダリングの美しさは筆舌に尽くしがたいものです。これはむしろ東アジア語圏のような複雑な文字、例えば日本語や中国語で用いられる漢字が顕著ですが、こういう込み入った文字体系でこそこのディスプレイの真価は発揮されると思います。試しにepubの電子書籍を表示してみてもその文字の造形は紙への印刷と同等ですし、MacOSにデフォルトでインストールされているヒラギノフォントはプロがDTPで使う高価なフォントです。英語フォントとしてもWindowsで標準搭載のArialではなく、そのオリジナルの、個人的にはより美しいと思っているHelveticaがインストールされています。Windowsのフォントレンダリング技術は、WindowsXPで初出のClearType技術で著しく進化しましたが、日本語版Windowsの標準フォントであるMSゴシックではフォントに内蔵されているビットマップフォントが使用されます。良いいい方をすればクッキリとした、悪く言えば汚いフォントしか使えなかったWindowsでは、Macで使われているフォントにあこがれを感じていました。

今まではWindows版のAdobeツールを使っていました。これらはOSを乗り換えるクロスアップグレードは認められていませんし、そもそもAdobeはCSシリーズの開発を終了してCCへ移行していまいました。正直いってCS3からろくに進化していないなので毎月お金を払って使うのは快いものではないのですが。。。

他に感じたMacのいいところといえば、音の良さ。スピーカーのクオリティがこれほどいいノートPCはそうそうなさそうです。音量もかなり大きく出来、さらに音質も非常にいいものです。これはそうとうこだわっているんじゃないかなぁ。音楽にはほとんど興味がないので普段から適当な音楽を流しっぱなしにしているのですが、その程度の耳でも如実にわかる品質です。

やはり少ない商品数で莫大な台数が出荷されるものですから、きっと一台一台にかけられる研究開発費は桁違いなのかもしれません。Apple以外のメーカーがこの品質のプロダクトを創りだすのは骨が折れそうです。信者の多いSonyのVaioやIBM時代のThinkpadあたりなら対抗できるでしょうが、Vaioは投資会社へ、ThinkPadは中国のLenovo社へ売られていきました。「普通よりちょっといいPC」という分野は今やAppleの手中にあるといえるのかもしれません。

とにもかくにも、Macユーザーへ改宗したことでWeb系の開発に不便さを感じることもなくなりましたし、Linuxで動かないPhotoshopを仮想環境がなくてもネイティブに動かせるようになりました。そこらへんのWindows機に比べればべらぼうに高いコンピュータですが、先代のVaioで出来なかったことを手探りですが楽しんでいきます。