2021-05-14

ホテル日航大阪に引っ越した

大阪中之島のリーガロイヤルホテルに格安長期滞在プランを使って住んでから一ヶ月が経った。4月の初めからスタートした大阪のホテル暮らしにも慣れてきて、普通にamazonとかrakutenの買い物や郵便物を部屋で受け取ったり、清掃のタイミングを都合に合わせて変更してもらったり、ホテルの中のコンビニやドラッグストアやレストランを自分のキッチンや冷蔵庫や薬箱のように使う快適な生活を送っていた(レストランは高いので実際はそんなにつかってない)。ホテル自体にさほど不満はないのでもうしばらくこの生活をつづけようかなと思っていたが、ふと自分の手元に日本航空の旅行券がたくさんあることを思い出す。これはコロナ禍の前に「どうせたくさん旅行するんだから」とはじめた旅行積立が満期になって送られてきたもので、このご時世、いうまでもなくほとんど使い道のないまま受取からいままで死蔵していた。

JALの航空券を一度に数十万円分購入する必要のある世界一周航空券の購入なら旅行積立で得た旅行券を使うとコスパがいい。しかしこのご時世では当面そんなに海外旅行へいく機会もないし、国内旅行で数千円から1万円くらいの航空券を買うだけとなるとこの旅行券というものの使い勝手は非常に悪いものとなる。なぜならこの旅行券をつかって航空券を購入しても東京有楽町にしかないJALの市内カウンターか、飛行機に乗るときにしか行く機会のない空港のチケットカウンターでしか支払えない。JALへの郵送という手段も使えるが、支払いのたびに送付書をA4の紙に印刷して記入事項を埋めて封入し、それを航空券購入期限まで必着の書留郵便で送る必要がある。もちろん送料も一回あたり500円ほどかかる。有楽町の近所に住んでいるとか、勤務先が空港であるとかで無い限り少額の利用はとにかく不便なのだ。世界一周航空券は便利なのでまた買う機会もあるだろうと思っていたが、まぁ向こう数年はこの世界にそんな余裕もないだろう。そう思うと手元に数十万円の金券がある状態というのは安全でなく、現金のようにATMに納めておくこともできない以上、引っ越しのタイミングでなくしたり盗難にあったりする可能性は否めない。

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とはいえ、この使い勝手の悪いJAL旅行券を支払いに使えるホテルが全国に、というか世界中にある。ホテル日航大阪もその一つだ。ニッコーホテル/オークラホテルズの系列店では宿泊費やレストランの会計などに使えるとあり、これならちょうどサンクコストの呪縛からも解放される。JAL旅行券が同じ系列の日航ホテルで使えるということは、考えてみたら当たり前のことなのだがすっかり忘れていた。日航大阪の長期滞在プランの30連泊もリーガロイヤルと同額の15万円なので、せっかくなら両方試してみようと思ってひとつき住んだリーガロイヤルホテル大阪からの引っ越しを決めた。中之島よりも心斎橋のほうが各所への交通アクセスはいいし、周りにもお店は多い。キャンセル料が掛かる条件もかなり柔軟で、リーガでは7日前から請求されるが日航大阪は1日前からの請求になっている。別のホテルであるので当然だが、同じ30連泊15万円のプランであってもサービス内容は結構違う。リーガロイヤルは単身で住んでもツインベッドの部屋になるため、自分が自由に使える面積は案外狭い。加えて部屋の清掃は週に二回、アメニティの補充は30連泊であっても最初に設置してあった一回分だけに制限されている。したがって歯磨き粉やひげそりなどは自分で持ち込んでつかう必要があるし、バスタオルは三日から四日つかってからの交換になる。対して日航大阪はアメニティの補充と清掃は毎日実施してもらえる。とはいえさして汚れていないシーツやバスタオルを毎日洗濯するのはなんとなく環境に優しくないと思うので「シーツやバスタオルの交換をしなくてもよい場合においてください」という備え付けのカードをよく提示している。

ホテルスタッフの応対はどちらもいいホテルだなと思わせるものだったが、リーガロイヤルより日航大阪のほうが殊更に素晴らしかった。リーガロイヤルは清掃時に補充されるとされていたペットボトルのミネラルウォーターが置かれていないことが何度もあったり、無料で補充されるティーバッグが清掃後も空のままだったりしたし(フロントに電話したらすぐにもってきてもらえたけど)、レセプションで「近くに郵便局はありますか?」といった(そんなに珍しくなさそうな)質問にも回答までかなり時間がかかったりと、格式あるホテルのわりには慣れてないスタッフが多い印象だった。一方日航大阪はチェックインのときから驚くほど丁寧に対応いただいた。こちらが恐縮するほど丁寧で、ゲスト・リレーションというそうだが、初めて訪れたレセプションで開口一番に「内藤様、お待ちしておりました」と声をかけていただいたのには驚いた。予約客の少ないご時世だからというのもあるだろうが、到着予定時刻や予約名、もしかしたら名前からわかる場合は性別や生年月日なんかの少ないヒントかを元に、まさか自分から「予約しているナイトウです」ということすらなくなってしまったのはただただ感動する。さすがプロの仕事だな、また泊まりたいな、と泊まる前なのに日航大阪のファンになってしまった。我ながらチョロい客である。

チェックインを終えて部屋まで案内していただくときも、自分のスーツケースをつかもうとしたら即座に「お部屋までお持ちいたします」と別のスタッフが手伝ってくださる。リーガロイヤルでのチェックインでは、これ運んでくれたりしないかな、と内心こっそり思いつつも別にそのようなことはなく自分でごろごろ転がして持って行ったので余計に差を感じてしまった。リーガロイヤルにとって長期滞在プランの利用者は「高級ホテルに安く泊まっている客」という見方をしているのかな、と若干さみしく思ったりする。

もちろん全ての点において日航大阪が優れているというわけではなく、たとえば館内に無料で使えるランドリーコーナーや電子レンジなんかがないというのは日航大阪の劣るところである。せめてコインランドリーでもあれば、と思ったが、残念ながらクリーニング業者と提携したランドリーサービスがあるのみだ。ユニクロの300円かそこらで買える靴下を一足洗濯するのに330円かかる。しかし長期滞在者にはそのプランに応じて7千円から2万円の館内利用券がチェックイン時にもらえるうえ、ランドリーサービスも30%OFFで使えるため、わたしの場合は案外まかなえてしまえそうだった。

ところで日航大阪で配っている周辺マップの凡例に「たこ焼き」「お好み焼き」が先頭にあるのがとても素敵である。実際日本中からやってくる観光客からめちゃくちゃ聞かれるのだろう。「この辺におすすめのたこ焼きやありますか?」と。外に出歩くのすら躊躇してしまう状況下ではあるが、落ち着いたらこのマップを見ながら小麦粉を大量摂取する街歩きを楽しみたい。