チェコのカルロヴィ・ヴァリで温泉を飲んできた
このまえハンガリーの温泉に入ったが、近くのチェコにも温泉文化があると知る。ただチェコの温泉は入浴を目的としておらず、もっぱら飲泉が主流らしい。消化器系疾患の治療にも古くから使われているという飲泉は、いまでは外国人観光客にも人気のある名所となっているようなので行ってみることにした。温泉地の名はカルロヴィ・ヴァリ。ドイツ国境にほど近い場所に位置している。
首都プラハのフローレンス駅から頻繁に高速バスがでているため迷うことなくたどり着ける。目的地のカルロヴィ・ヴァリまでは2時間ほど。同地は終点なので乗り過ごしてしまうこともない。
到着したら街の中心地まで歩いて行こう。中心地は車が入れないようになっているらしい。
コロナーダを巡る
街には飲泉のための蛇口がたくさんある。それらはコロナーダと呼ばれる飲泉所の中に雨風があたらないように設置されている。街中のキオスクで売っている専用の容器をつかって汲んで飲むのが一般的な作法だが、わたしはとりあえず持っていた水筒の蓋で飲むことにした。かなり熱いので手で汲むのは無理だと思う。
味は強い鉄分と若干の塩気を感じるお湯で、それほど美味しいものではない。無料で好きなだけ飲めるがだからといってガブガブ飲むのは少し厳しいと思う。多量の摂取はおなかも壊しそうだ。味のイメージとしては熱湯で薄めた血液のような感じだろうか。顔を殴られて口の中を切ってしまったような感覚になる。
自由に温泉を汲める蛇口は十数カ所に設置されており、それぞれ湯温や含有しているミネラルの組成が多少異なるらしい。湯温はともかく成分はこの距離ではそんなにかわらないのではと思うが、せっかくなのでコロナーダを見つけるたびに一杯ずつ飲んでいくことにした。
言われてみれば若干味が違うような気がしないでもない。湯温の差な気もする。昔のチェコ人がこの温泉を飲んで毒だと思わなかったのが不思議だ。ひいき目にみても美味しいものではないし、消化器官への効能だって即効性があるとも思えない。不思議な伝統である。
カルロヴィ・ヴァリの街歩き
温泉地なので至るところで蒸気が上がっている。コロナーダのように適切にしつらえられた飲泉設備以外にも、ただ川に垂れ流している温泉や噴水に使われている温泉がある。屋外に設置されたアート作品や名物のワッフルも人気があり、飲泉が苦手でも街を歩いているだけでなかなか楽しい。
プラハからの日帰りでも楽しめるカルロヴィ・ヴァリ。湯治目的でのんびり滞在するのもいいかもしれない。良い街だった。また来たいなと思う。