ウクライナ製のリュックサック HURU H1 を買った
これまで使ってきたリュックサックはそこらへんの服屋で買った粗悪な品質のものや、旅行中に一目惚れして買った見た目だけよくても使いづらい謎メーカーのリュックとか、そんなものばかりだった。奮発してAerのトラベルバックパックを買ってからはかなり快適に旅行ができるようになったが、これも酷使した結果、軍用の丈夫なナイロン製という触れ込みの素材に穴があいたりして手放すことになった。いま思い返しても素晴らしい商品だったし、正直リュックサックとしては当時の自分にとって大変に高価だったが(200USDくらいした(今だって高いとは思うけど))、間違いなく元がとれたと感じている。その後は無印良品の軽いリュックサックを数年間使っていた。
これはこれで非常に安価なわりに丈夫で品質はよかった。二箇所あるジッパーは簡単に開けられるので防犯の観点からは最悪なのだが、私は貴重品用のボディバッグと併用するなどしていたのでおおむね十分だった。この一年ほどはスーツケースとセットで使っていて、この使用方法は当初それなりに便利で、機内に持ち込みたいノートPCと充電器はリュックサックに、それ以外は全部スーツケースに入れて飛行機に乗ったり、ホテルにスーツケースは置きっぱなしにして貴重品やカメラだけリュックサックに入れておくみたいな使い方をしていた。一部の地域だけをまわるなら荷物は小さくまとめられるけど、寒暖差の激しい移動を挟んでしまっては荷物を小さく保つのはなかなか大変だ。
しかし60Lのスーツケースだとオンラインチェックインだけで完結しないのが猛烈に不便だし、機内持ち込み可能なリュックサックだけですむならそれが一番なのは言うまでもない。空港のチェックインカウンターがいつまでもオープンしなかったり、死ぬほど混んでいたりしたら行列に並んで虚無の待ち時間が何十分も生まれる。持ち込み荷物だけならオンラインでチェックインして悠々としていればいいというのにだ。私はもともとスーツケースで旅をすることはほとんどなく、初めて海外旅行に出かけた19才のときからずっとリュックサック一筋だったのだが、家を解約して全ての荷物を持ち歩く都合上スーツケースにしていただけなのだ。しかし旅行中に邪魔なものを捨てたり、不用意になくしたりしていくうちに勝手に身軽になっていった。するとスーツケースはいつのまにやらスカスカになっていて、空気を運んでいるような状態になってくる。スーツケースを卒業し、リュックサックで生きていくタイミングがやってきた。
というわけでウクライナのバッグメーカーHURUの作っているリュックサックH1を買った。商品はウクライナの首都キーウからラップでぐるぐるまきになって送られてきた。到着時点で外装の段ボールはボコボコにやつれている。苦笑いしながら開披してみると、そこにはこのご時世を感じさせるメッセージがマジックペンで書かれていた。ロシアによる侵攻でGDPが30%も下がり、たくさんの無辜の人々が被害を受けているウクライナを多少なりとも支援できると思えば、(けっこう高価な)リュックサックの購入も意義深いものになったと信じたい。
HURUのリュックは最大40Lとなっている。機内持ち込みが可能なリュックサックの容量としては最大級だ。スーツケースに入れていたが無ければ無いでなんとかなるであろうものを省いたところ、十分リュックに収まってくれた。まだまだ容量には余裕がある。まぁリュックサック自体の重さが2kg近くあるのが不満と言えば不満ではある。普段使いしていた無印良品のリュックサックは0.4kgという軽さだったのでそれをなおさらに実感する。これまでのリュックもスーツケースも無印良品だし、そこに詰め込むトラベルグッズも無印のものばかりだ。私はけっこうな無印信者なのだろう。
このリュックサックの仕様については公式サイトをみればすべて載っているので改めてここで説明することはしないが、しばらく使ってみて感じた気持ちとしては、181cm / 74kgの私の体型でもリュックの肩ベルトがずり落ちそうになるのが若干不満かもしれない。実際に落ちることはないのだが、なんとなくしっかりホールドされている感じがせず、たとえば走ったりするときには肩ベルトをつい両手でつかんでしまう。私がなで肩なのかもしれないが、やはり巨大な白人の体躯を基準に作られているような気がしないでもない。ただ、専用のチェストサポートバックルも販売されているので、心配ならそちらを一緒に購入すればいいと思う。
とはいえプロダクトとしてはかなり満足している。デザインは良いと思うし、肩ベルトにシークレットポケットが備わっているのもうれしい。何年もバックパックジプシーをしていたが、とりあえず定住の地を見つけられたような気がする。かなり丈夫そうだし、当面はこの子と旅行にでかけてみよう。